見心来復墨蹟 偈頌
けんしんらいふくぼくせき げじゅ
概要
見心来復は中国・元末明初期の臨済宗を代表する高僧。文学僧として名高く、その詩文集などに多彩な人士との交遊が窺える。日本との関わりも深く、博多妙楽寺に「石城山呑碧楼記」を寄せ、京都建仁寺の住持であった月篷圓見の塔銘を撰した。佐賀・鳥栖に所在する萬歳寺には見心来復と法弟の以亨得謙の頂相(いずれも重要文化財)が伝わる。このうち見心来復像は、以亨得謙が帰国に際して描かせた来復47歳の寿像であり、来復の自賛が着く。
本作品は七言絶句の偈頌2首を揮毫する。その書はやや右上がり気味の整った行書で、伸びやかな払いや所々に丸みを帯びる運筆が特徴的である。その遺墨の中でも特に張勝温筆「画梵像」後跋や趙孟頫筆「趵突泉詩」後跋(いずれも台北国立故宮博物院蔵)の筆跡に通じる特徴が認められる。