押隈 九代目市川團十郎
おしぐま くだいめいちかわだんじゅうろう
概要
押隈 九代目市川團十郎
おしぐま くだいめいちかわだんじゅうろう
本紙324×240、額631×464(mm)
千代田区隼町4-1 国立劇場
登録番号12095-51
鈴木十郎コレクション
調査監修:石橋健一郎
解説:安冨順
独立行政法人日本芸術文化振興会
隈:筋隈。荒事の役柄が描く代表的な隈。身体全体に漲る力による筋肉の盛り上がり、血管の怒張を表現している。役者:九代目市川團十郎。役名:『国性爺合戦』の和藤内。明治20年(1887)4月、東京市村座上演時のもの。『国性爺合戦』は近松門左衛門作の人形浄瑠璃、正徳5年(1715)11月初演。歌舞伎に移入されると、荒事の演出が採用される。面白いのは和藤内の隈も場面が変わると、一本隈から筋隈へ変化する。劇的進行に伴う心理変化を表してる。隈取による巧妙な演出である。額装の裏書:「明治二十年四月三日/市川團十郎ヨリ到来/市村座ニテ九代目團十郎/和藤内ノ面隈」「明治二十年四月三日市村座/九代目市川團十郎和藤内紅隈(朱印)林若樹氏」。九代目市川團十郎:天保9年(1838)~明治36年(1903)。劇聖と敬われる近代歌舞伎最高の名優。七代目坂東三津五郎によると團十郎は、隈を両の指先で、大まかに描いたそうである。