佐久良東雄旧宅
さくらあずまおきゅうたく
概要
佐久良東雄文化八年三月二十一日常陸國新治郡浦須村(今の林村大字浦須)に生れ幼にして出家せしが尊皇の志深く後ち還俗して王事に奔走するところあり萬延元年三月幕府の爲に捕へられ六月獄中に卒す、其の和歌は皇國の大義を詠じて餘蘊なく又其の子に與へたる遺言書は盡忠の道を悉せるものとして極めて貴重なり。
宅は其の生誕し幼時を過せし處にして字長家に在り低夷なる丘陵の裾に南面して存す正面に長屋門を構へ中庭を隔てゝ茅葺平家建の母屋あり、母屋は向つて右側に土間、左側に所謂田字形の配置を爲せる部屋を設けたるものにして嘗て稍々後方に引かれ又椽廻に夛少改修の跡ありと雖極めてよく舊規模を存せり。