白釉龍耳瓶
はくゆうりゅうじへい
概要
平底で卵形の胴部に細くくびれた頚部がつき、左右に龍頭形の把手をともなう。龍は頭を垂れ、盤状の口縁部を咬んでいる。頭頂部には耳・角・鬣が精緻に表現されている。龍頭形の大ぶりの把手は実用に不向きであり、本作は墓に副葬するための明器として作られた可能性が高い。硬い素地の表面に白化粧を施し、口縁部から胴部にかけて青味を帯びた透明釉をかけている。龍耳瓶の器形は西アジアのアンフォラ形のガラス器に影響を受けて成立したと考えられる。三彩の例も多く知られているが、出土例の年代と龍の形態を見る限り、白釉・白磁の龍耳瓶のほうが早く、その時期は初唐に集中している。西域との交流が盛んだった唐代の国際色豊かな文化を象徴する器種のひとつである。