青磁水注 越州窯
セイジスイチュウ エツシュウヨウ
概要
宇治市木幡の茶畑より出土したと伝わる青磁水注である。豊かに張る胴に円筒形の頸や笹葉形の把手と注口、肩の両側には耳が付いている。出土地は寛弘二年(一〇〇五)に藤原道長が一族の菩提寺として建立した浄妙寺に隣接する地であることや、ほぼ完全な形での出土であることなどを考えると、特定はできないが藤原氏一族の墓に副葬されたものであろう。浙江省の越州窯で、五代十国から北宋時代の初め頃に焼かれたものである。本作が中国より運び込まれた時期、日本では寛平六年(八九四)に遣唐使が廃止され、国風文化が花開く時期ではあり、こうした唐物文物が珍重され、墳墓に副葬されることは興味深い。