青磁袴腰香炉
せいじはかまごしこうろ
概要
中国古代青銅器の鬲の形から変化した香炉であるが、胴の形が袴をはいた姿のように見えることから、日本では袴腰の名で知られている。三本の脚はまとまって付き、平たく作った胴部の張り、まっすぐに立ち上がった太い頸部、平らに開いた口縁など、堂々とした姿は、完成された美しさを見せている。灰白色の素地に厚く掛けられた淡い青緑色の青磁釉は、ほどんどむらなく焼き上がっている。肩をめぐる水平の隆起線と、それから脚にかけて垂直に入れられた細い凸線は、釉が薄くなったために白く浮かびあがって、青磁釉に変化を与えている。三脚の先端は釉を無造作に剥ぎ取って素地を見せ、露胎部は赤く焼けている。
南宋時代末期から元時代にかけての13世紀頃に、浙江省の龍泉窯で焼かれた、いわゆる砧青磁の典型的な例である。わが国へは鎌倉時代に相当量のこうした砧青磁の器物が請来されたようで、これはそうした中から、大切に取り扱われてきたもので、擦れ傷もほとんどない見事な香炉である。
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