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不動明王立像

ふどうみょうおうりゅうぞう

概要

不動明王立像

ふどうみょうおうりゅうぞう

彫刻 / 平安

平安時代・12世紀

木造、彩色・截金、玉眼

高156.4 台座高36.6

1軀

 仏教では、さまざまな名前、姿や形、役割をもった仏たちが登場します。明王とは「知恵と呪文の王者」という意味です。仏教の一種である密教では、「大日如来」(だいにちにょらい)という仏が、宇宙の中心的な存在と考えられました。明王は、その大日如来の化身で、怒りの表情や威嚇(いかく)するような姿かたちを示すことで、より強く仏教の信仰をうながす役割を果たします。ですので、明王には怖い顔をしたり、体の色が赤や青であったり、武器を持つものが多いのです。その代表格が不動明王です。不動明王は、日本では平安時代9世紀以降に信仰され、彫像や絵画も数多くの名作が今に伝わっています。
 この像は、不動明王(ふどうみょうおう)です。複数の材を接合して体幹部(たいかんぶ)を構成する「寄木造」(よせぎづくり)で作られています。この像の場合、ヒノキの材を前後左右に4つ組み合わせた体幹部に、両腕を肩から接合しています。さらに、表面に彩色をしています。右手には剣を持ち、左手には「羂索」(けんさく)というロープを下げるポーズです。これらは敵を倒すための武器ではなく、剣で人々の煩悩(ぼんのう)を切り裂き、羂索で人々を救いあげることを意味しています。不動明王の基本的な姿かたちは大きく2つあります。一つは、頭髪は「総髪」(そうはつ)というオールバックで、結わえた毛先を左肩に垂らし、両目を見開き、上ので下唇を噛む姿です。この像はもう一つの形式で、頭は巻髪(まきがみ)で、結わえた毛先を左肩に垂らし、左目をしかめ、唇の上下に牙をのぞかせています。細い手足と穏やかな表現は、平安時代後期、12世紀の彫刻の特色をよく示しています。衣の表面にはオリジナルの彩色や文様を残しています。さまざまなパターンや、金銀箔を細く切って貼った装飾に、この時代特有の、繊細で優美な表現をみることができます。顔の部分は、当初は彫って目をあらわしていたのを、のちの時代に、水晶をはめる「玉眼」(ぎょくがん)にあらためる目的で作り直されたと考えられます。

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不動明王 / / / ふどう

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