鑁阿寺本堂
ばんなじほんどう
概要
鑁阿寺は、足利市の中心市街にある、真言宗寺院である。境内は足利氏の居館跡と伝え、周囲に土塁と濠がめぐる。
鑁阿寺本堂は、大日如来を本尊とし、現在の建物は7代足利貞氏により正安元年(1299)に建立されたもので、応永14年(1407)から永享4年(1432)の修理により、柱と小屋組を強化して本瓦葺に改められた。その後、室町時代末期までに背面向拝をつけ、江戸時代中期に正面向拝が改造された。
平面は、典型的な密教本堂の形式だが、内外の組物は、禅宗様の詰組とする。
鑁阿寺本堂は、東日本を代表する中世の密教本堂で、当時最新の禅宗様をいち早く導入した建物である。わが国の宗教建築の構造と装飾の発展に寄与した禅宗様の、受容と定着の様相を示す遺構として極めて高い価値が認められる。
また、様式の摂取には要素の選択が認められ、我が国における外来新技術の受容のあり方を示しており、文化史的に深い意義を有している。