旧和中散本舗
きゅうわちゅうさんほんぽ
概要
旧東海道草津宿と石部宿との間にあり、薬種和中散を製造販賣したところで、建物は東海道を挾んで南北の二部に分たれる。南部は主要部であつて、その向つて右は店舗、仕事場及び住居に充てられ、店舗には看板、湯沸釜等旧時のまま存し、土間を隔てた仕事場には木製の動輪、歯車によつて操作される製薬用の石臼がある。これに連つて左側には正門、玄関を設けた座敷構の部分が、街道向側には馬繋ぎ、薬師堂、控家がある。
当家は慶長年間この地に来住したと傳えられるが、主屋は略々その項の建物と称せられ、座敷構の部分及び控家はこれに後れて建てられたものと認められる。
一に中の本陣とも言はれ、東海道名所図会にも描かれている程著名で、その堂々たる建物は今なお街道の偉観と称することが出来、産業史、又交通史の遺跡として極めて貴重である。