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短刀 銘 幸重

たんとう めい ゆきしげ

概要

短刀 銘 幸重

たんとう めい ゆきしげ

金工 / 室町

幸重(生没年未詳),〔縁金〕雪山(一宮長常/1726~86)(※1),〔小柄〕筒井包国(生没年未詳)(※2)

室町時代

玉鋼,(刀装具)木,金属(真鍮など),漆,革など・短刀(鎧通し),目釘穴1個・鍛造,彫金,漆芸

〔刃渡り〕26.7㎝(※2) 〔反り〕0.5cm 〔全長〕36.0cm 〔鞘〕長44.5cm
《小柄》刃渡り9.0cm,長19.2cm,幅1.1cm,(小柄の柄)長9.8cm,幅1.4cm
《笄》長20.4cm,幅1.1cm 《縁金》長3.8cm,幅2.2cm

1口

富山県高岡市古城1-5

3-03-01-26

「鎧通し」という形式の短刀である。鎧通しとは「太刀に差し添えて、軍陣に携帯した短刀の一形式。古いものではなく、室町末期に出現した。分厚く、鋭利で、反りがなく、突き刺し、掻き切るのにくふうされた短刀で、長さは9寸5分(28.5センチメートル)程度という。瞬時の操作に便利なように馬手(右手)の前脇に差し添えたので「馬手差し」ともいう。」(『日本大百科全書』小学館)。

銘の「幸重」(幸は異体字)については不明。寄贈者の家族曰く「刀剣審査員が言うには室町時代のものであろう」とのこと。『刀装金工事典』(若山猛、雄山閣出版、平成8年新装版)には、江戸時代中期の長州萩の金子家の初代とあるが、時代が合わない。刀工、刀身については今後詳細な調査を要する。
そして、後補であろうが、本資料には刀装具(拵)が装着されている。しかし、鍔は無い(鎧通の拵は多くが鍔が無い合口拵という)。鍔にあたる部分は鍔形の鼈甲細工(一部欠損)がある。
革巻の柄巻に一部隠れているが、目貫は蜘蛛文のようである。笄(割笄)・小柄は共に、魚々子地に丸に剣片喰紋が3つずつ彫り出されている。
縁金に「雪山」の銘がある。これは京都の名工・一宮長常(1726~86)の初期の号である。そして小柄には「越中守包国」の銘がある。これは江戸前期の奈良の刀工である。



【注】
※1 雪山(一宮長常) せつざん(いちのみや ながつね/1726~86)
江戸時代の装剣金工家。越前国(福井県)敦賀生まれ。柏屋忠八と称し、もと鍍金(めっき)師であったと伝える。蟻行子、含章子、雪山の号がある。後藤隆乗(りゅうじょう)の流れをくむ太刀師保井高長のもとで修業、1770年(明和7)9月21日、御所の衝立(ついたて)の金具を調進した賞として越前大掾(だいじょう)を受領(ずりょう)。石田幽亭に絵を学び、下絵に巧みで、京都における名人の一人に数えられている。肉合彫(ししあいぼり)に片切彫象眼色絵を交えた独自の作風で、絵画的構図を得意とした。[小笠原信夫]
(「日本大百科全書(ニッポニカ)」小学館)

※2 筒井包国 かねくに 生没年未詳
江戸時代前期の刀工。筒井紀充(のりみつ)の父。万治~元禄(1658~1704)のころの人。大和(奈良県)文珠の末流。のち大坂にうつり、初代丹波の門人となった。銘は「越中守藤原包国」など。姓は筒井。通称は久右衛門。
(「デジタル版 日本人名大辞典+Plus」講談社)

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