短刀 銘 備中国住大隈権介平貞次/正平十二年八月日作
たんとう めい びっちゅうこくじゅうおおすみごんのすけたいらのさだつぐ/しょうへいじゅうにねんはちがつひさく
概要
平造、三ツ棟。反浅くつく。鍛は板目に杢交じりで総体に肌立ち、地沸つく。淡く乱れて映りが立つ。刃文は匂い口締まりよく沸つき、広直刃でわずかに小丁子が交じり、区際を焼き落とす。帽子は先尖りごころ、返りは沸崩れて下半まで長く焼き下げる。茎は生で先刃上がり栗尻、鑢目大筋違、目釘孔1つ開く。指表に刀工名、指裏に南朝年紀銘を切る。付属の拵は籐巻柄に九曜紋の目貫金物を打ち、地板を胡麻竹にした小柄を伴う隈府拵で、刀子には銘「勢陽御瀧門来国光」を刻む。貞次は後鳥羽院の御番鍛冶をつとめたとされる著名な古青江の刀工である。同銘の刀工が複数代に及ぶと考えられるが、本品には年紀を伴い、貞次の基準作のひとつとして貴重である。