酒飯論絵巻
しゅはんろんえまき
概要
酒飯論絵巻は、16世紀中頃に成立したとされる。本絵巻は江戸時代後期の写しで、詞書を欠く。酒好き(上戸)と飯好き(下戸)、酒と飯の両方好きな者(中戸)がそれぞれの長所を競い、中戸がよいと説く内容である。これらは法華宗と一向宗、天台宗の宗教対立を暗示しているとされる。
場面は囲碁、上古の宴会風景、酒が入れられた桶や樽、下戸の食事風景、精進料理の台所風景、中古の食事風景、鳥や魚を準備する調理場などが吹き抜け技法で描かれている。衣装や調度品なども細かく丁寧に描かれ、茶道具、座敷飾り、唐物の青磁盤、赤や黒の漆器、金属器、曲物などの木製品など使われた具体的な品々をみることができる。宴会、食事風景、調理の様子などを窺い知ることができ、風俗画の初期の絵画資料として評価される。