緑釉狛犬(対)
りょくゆうこまいぬ(つい)
概要
"輸出用の人形や動物の置物を焼造したのは、景徳鎮よりも徳化窯(福建省南部)が先行したが、徳化窯はもっぱら白磁を得意としたので、この緑釉狛犬などは広東地方で焼造され、国の内外に販売されたもののようである。
広東窯は明代に発展し、清代には石湾と仙山の2地域で数多くの製品が作られたが、石湾の窯では今日でも置物や人形の生産が盛んに行われている。厚く滑らかな石湾の釉は比較的低温で焼かれ、その色は、赤、緑、白、黄、青、黒などさまざまである。広東窯の主な生産品は日常の生活に使う鉢、壺、碗、皿、瓶などであったが、既述のように石湾の置物、人形は中国全土に有名であった。
石湾では、あらゆる種類の釉がけが行われたが、素焼と釉掛けの組合せという特色のある技法も知られている。この狛犬のように、誇張した表情の動物や人形なども石湾窯の特徴のひとつである。
末広がりの高い台脚の上に蓋のついた球形の鉢がのったものを中国では豆と称し、土器や青銅製の豆は、古代から盛器として使用されてきた。通常、蓋のつまみは平坦に出来ていて蓋をとって裏返しにしたときに蓋が安定し、小皿の役を果たすようになっているが、この豆では宝珠形に変わっている。
中国の七宝は製法によって3種類にわけられる。すなわち、生地彫り七宝、有線七宝、琺生地を予め文様に合わせて鋳造するか、タガネで彫って作るか、あるいはまた型とタガネ彫りの両者を併用するかのいずれかである。七宝絵具を金属の生地に埋めるのであって、生地の表面全体を化粧張りするのではない。これに反して、有線七宝は文様を仕切りの中に分けるために、銅、銀、金あるいはその他の軟金属の細い軟らかい線を金属生地の表面にはんだづけをして、区劃文様をはっきりさせその中に絵具を流しこむ。七宝絵具がこの金属格子の中に流れこみ、各仕切りを象っている金属格子細工をこわさないようにして、七宝絵具が十分に溶融するまで火にかけるのである。
この豆は有線七宝に属する。有線七宝の技術は、紀元前13世紀頃、おそらくはギリシャのミケネ文明の頃に創造されたのであろう。今世紀になって、多くの有線七宝がクレタ島やサイプラス島の古墳から出土している。西洋から中国へ七宝技術が伝わったのは、14世紀の元時代の終わり頃に、マホメット教徒の仲介によると一般的には考えられている。
七宝細工は仏教寺院、中でも特にラマ教寺院で珍重されたが、この七宝豆も、たぶんこのような寺院で使用されたものであろう。
(註)金属胎の表面に、まず不透明な絵具をむらなく上塗りして、つぎに磁器に文様をつけるのと同じ方法で、この表面に七宝絵具で文様を描いて低温でやきあげる。これを琺瑯七宝、または単に琺瑯と称する。(琺瑯=ホウロウ)"
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