青磁牡丹唐草文合子
せいじぼたんからくさもんごうす
概要
合子は、蓋付の小さい容器のことで、主に香合や化粧品入などとして用いられた。身は、中央に窪みのある平らな底部を持つ円形の器で、側面に線彫りで縦線を廻らす。蓋は、表面に型押しと線彫りで円形の枠を設け、その中に大きく牡丹唐草文をあらわし、肩には縦線の線彫りを施す。身・蓋ともに底部と口縁を除き、全体に淡い青磁釉をかける。
中国大陸における本格的な青磁の生産は後漢時代の2世紀に遡り、その後、三国時代(220-265)から西晋時代(265-316)にかけて浙江省の越州窯で青磁生産が興隆した。本作品は、淡い灰色をおびた青緑色で、丁寧に彫り込まれた文様も繊細である。南宋時代(1127-1279)に作られた製品と考えられる。この時期の製品は、鎌倉や京都を中心に日本の寺院に伝来しており、室町時代には足利将軍家の座敷飾りにも用いられた。