桃花雉子図
とうかきじず
概要
岩の上に二羽の雉子を、その背後に桃花を、岩の下に蒲公英など春の草花を水墨のみを用いて描く。その画風は、室町時代に高い評価を得た中国の僧侶画家・牧谿(13世紀活躍)の水墨花鳥図を基調とするもので、狩野派の体制を確立した元信(1477-1559)が整理し、永徳(1543-1590)らに受け継がれた表現やモチーフを踏襲する。作者の狩野山楽(1559-1635)は永徳の後継者として豊臣家に仕え、のちに京都に定住して幕府の用命を受けて活躍し、京狩野の祖と呼ばれた。賛者の龍岩瑞顕(1560-1636)は妙心寺住持を3度つとめた高僧である。