渡唐天神像
ととうてんじんぞう
概要
無背景を背に正面を向き、青色の頭巾と薄浅黄地に花菱紋を織り出した道服を着け、左肩から右腰に袈裟袋をさげる渡唐天神像を描く。組んだ両腕を体の中心よりやや左に振り、一枝の紅梅を右腕に挟む。腕を少し振る姿は、狩野元信(1477~1559)やその後継者らによって描かれた形式を踏襲した、典型的なものである。大倉好斎(1795~1862)の極書には、狩野山楽(1559~1635)筆としているが、線描は山楽の躍動感ある筆線と異なる。ただし、狩野派に学んだ画家による制作と考えられる。