雲気文漆小盤
うんきもんうるししょうばん
概要
盤のように浅い平底の漆器であるが、小ぶりで、口縁部が外に張り出さない形状はたいへん珍しい。高台はない。内外面に黒漆を塗り、器壁の内外面と見込みに朱漆で文様を描く。内面は器壁に屈曲しながら展開する変形雲気文をめぐらし、見込みには曲線で雲気文を配し、中央に鳳凰文を描く。
文様の描き方は湖北省江陵県楊家山135号秦墓から出土した漆盤のそれに近い。本作の製作年代も秦時代か、下っても前漢前期までと推定される。本作の薄さと軽さは秦時代から前漢前期にかけての漆工技術の高い水準を示すものとして注目される。