浄瑠璃語り・竹本其翁軒改名案内刷物
じょうるりかたり たけもときおうけんかいめいあんないすりもの
概要
浄瑠璃語りの竹本其水軒が60歳となったのを機に、門人の其龍にその名を譲り、自らは「其翁軒」と改名したことを披露するために刷られたもの。
追伸には、当時操り人形師として高名を博している東京の山本三之助を招待し、門人等の浄瑠璃と会わせて、高岡市新横町の芝居小屋(丸三座か)にて興行をしたいので、その案内もしている。
其水軒(其翁軒)については資料が無く、詳細は不明。高岡市新横町の芝居小屋で興行をしていることから、高岡市の浄瑠璃語りかとも思われる。
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【釈文】
〔演台と見台の絵〕
(緑文方印「字□/旭□」)
〔三番叟の絵〕
さま〱の
木陰をうけて
行々子
其翁
換 舌
謹而諸彦の幸福を賀す、随て野生義、廿年の頃より竹本流の
浄るりを好み、年経る事既に耳順の坂もこえ、是全く
昇平多楽事の御代およひ、四方の諸君の御恵みの厚きか
致すところなりと奉謝す、偖はこたひ予か門人のうち其龍なる者
其水軒の号をうけつかんの望みに譲りて、卒爾なから愚老は其翁軒と
改名したるの披露なり、尚、老をたのしまんと欲す、冀は翁を棄
給はむ事を
副伸方、今操り人形に高名を博したる東京の山本三之助氏を
態々招待いたし、門人等の浄るりと娯楽を合併して、
御各位の御視聴を慰めむとの志願なり、就て新横町
芝居小屋に於て興行仕候間、御多忙を御繰上、何卒賑々しく
御来車降されて、寛々御見物のほと、偏に奉希候、敬白
明治廿四年五月 竹本其翁軒(花押)