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倉沢人形歌舞伎

くらざわにんぎょうかぶき

概要

倉沢人形歌舞伎

くらざわにんぎょうかぶき

無形民俗文化財 / 東北 / 岩手県

岩手県

岩手県花巻市

選定年月日:20190328
保護団体名:倉沢人形歌舞伎保存会
11月23日

記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財

倉沢人形歌舞伎は,全国各地に分布する人形芝居のなかでも,東北地方各地に伝承されている裾突っ込み式,挟み式一人遣いの一つであるが,歌舞伎を人形で演じるという姿勢を有する希少な事例である。人形遣いが歌舞伎の演技演出を習得し,かつそれぞれ役の台詞を担当するなど,特徴ある内容を有している。
倉沢人形歌舞伎は,岩手県花巻市東和町(とうわちょう)倉沢(くらざわ)に伝承され,歌舞伎の上演内容を人形に移して演じる姿勢を有し,役の台詞を人形遣いが発するなどの点で,特色のある人形芝居となっている。人形は一人遣いを基本とし,人形の裾から片手を入れて操る裾突っ込み式で,かつ差し入れた手の人差し指と中指で人形の首(かしら)を挟み,親指と小指で人形の両腕を操作する挟み式という形態である。上演は舞台浄(きよ)めの「三番叟(さんばそう)」に始まり,最後は「景色(けいしょく)」という短い踊りで打ち出しとなる。この間に演じられる演目は「本朝廿四(ほんちょうにじゅうし)孝(こう)十種(じゅしゅ)香(こう)の場(ば)」「絵本(えほん)太(たい)功記(こうき)尼ケ崎(あまがさき)の場」「傾城(けいせい)阿波(あわ)の鳴門(なると)巡礼歌(じゅんれいうた)の段(だん)」「奥州(おうしゅう)安達(あだちが)原袖(はらそで)萩(はぎ)祭文(さいもん)の場」などが伝えられ,竹本(たけもと)(義太夫(ぎだゆう)節(ぶし))の演奏と,人形遣いによる各役のせりふが掛け合いで演じられる。これらの多くは歌舞伎の代表的な義太夫狂言であるが,いっぽうで竹本を用いない「戸隠山(とがくしやま)岩見(いわみ)重太郎(じゅうたろう)大狒(ひひ)退治(たいじ)の段」のように,近隣地域に伝わる人形芝居との関連をうかがわせる演目も含まれる。

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