万葉集古義稿本
まんようしゅうこぎこうほん
概要
幕末の国学者・土佐藩士(用人・白札/藩校教授館下役)鹿持雅澄による注釈書。全22巻。第1~第10巻まで22分冊となり、内9巻は欠。第2巻上下は2部ずつある。巻2の107丁に「戊寅八月六日書写畢」とあって、この年1818(文政元)年が、おおむね『万葉集古義』の起稿の年とされている。その後研究の進むにつれ稿本にはつぎつぎに書入れが行われ、鹿持雅澄(1791~1858)の死の前年の1857(安政4)年1月まで続けられたといわれる。したがって本書の成立は約40年の歳月を要している。もっとも本書は全20巻の『万葉集古義』の前半の部であって、飛鳥井本とこの山内文庫本とを合わせて『万葉集古義』稿本の本来のものとなるが、飛鳥井本が関東震災で亡失した現在、雅澄の業績をじかに伝える文書の価値は大きい。『万葉集古義』は明治になって宮内省より木版で刊行され、以後活版も度々出版となり、『万葉集』の註釈書としてよく知られている。〈高知市文化財情報を元に一部改訂〉