古今和歌集巻第廿(高野切本)
こきんわかしゅうまきだいにじゅう(こうやぎれぼん)
概要
その一部が高野山に伝来したことから「高野切」と呼ばれる、古今和歌集書写本の第二十巻。高野切は古今集の写本としては現存最古であり、かつ平安時代の仮名書の完成形を示す書跡として古来より名高い。紀貫之(?-九四六)筆と伝承されてきたが、実際には三種の書風が混在し、十一世紀中頃の寄合書と推定されている。山内家伝来の巻第廿は「第一種」と呼ばれる書風を示す。抑制のきいた端正な書きぶりは、高野切の筆者三名の中で、もっとも格の高い人物の手になるものとされる。