太鼓台の布団締め
たいこだいのふとんじめ
概要
太鼓台は祭礼屋台の一種で、櫓組の中に太鼓を据えて打ち鳴らすもので、四本柱の上に何重もの布団屋根を乗せることが多く、布団屋台、布団太鼓、布団だんじりとも呼ばれる。愛媛県内では西条市以東では「太鼓台」、しまなみ海道沿いや忽那諸島など瀬戸内海島しょ部では「だんじり」、南予地方では「四つ太鼓」の呼称がある。太鼓台は、江戸時代に上方で発生したもので、19世紀前半に、現在のような布団を積み重ねた形の太鼓台が西日本各地に伝播した。現在、太鼓台の分布は東限は三重県で、近畿地方、山陽地方、四国地方に色濃く、九州にも点在している。この中でも愛媛県東予地方から香川県、兵庫県にかけての太鼓台は幕や布団締めを豪華絢爛な金糸の立体刺繍で飾られている。この布団締めは香川県坂出市の秋祭りの太鼓台で使われていたもので、もともとは大正10年頃に新居浜方面の太鼓台で使用されていたものを購入したと伝えられている。太鼓台の重(布団屋根)には四面に一対ずつ計八枚の龍の立体刺繍で飾られた布団締めが取り付けられる。黒布地の木板に左側は玉(如意宝珠)を持ち、右側は剣を持っている。現在の新居浜太鼓台に比べて小ぶりであり、祭りの太鼓台の変遷を知る上で興味深い資料である。
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愛媛県歴史文化博物館