フランス風景
概要
6 森田恒友(1881−1933) フランス風景 1914−15年
埼玉県生まれ。1902年東京美術学校西洋画科に入学、06年卒業し研究科に進学するが、翌年に退学。雑誌『方寸』、〈パンの会〉へ参加。14年渡欧。帰国後、二科会、日本美術院に参加するが、22年には新たに春陽会創立に参加。その頃から晩年まで水墨画に力を入れ、「平野人」と号すなど、関東平野を文人的まなざしで描いた。
この作品は渡欧中、パリ郊外のエクス・アン・プロヴァンス付近で描かれた。第一次世界大戦のさなか、緊迫したパリを離れた時期にあたる。この作品に見られるように、留学中にセザンヌに惹かれた画風は構築的でしかも開放的であり、牧歌的な雰囲気をたたえている。この時期恒友の作風がセザンヌ風を帯びていることは確かだが、その後の恒友の芸術的展開を考えると、セザンヌから学んだことは造形的な表現方法よりもむしろセザンヌの自然に対する理解、洞察、愛情、そして仕事への精励であったといえるだろう。