宋版『孫真人玉函方』他
そうばん『そんしんじんぎょくかんほう』ほか
概要
宋版『孫真人玉函方』他
そうばん『そんしんじんぎょくかんほう』ほか
千葉県
宋【中国】
紙質:竹紙
形状:版本、全51葉(裏表紙1葉を含む)
仮綴じ、全紙に裏打ち紙あり
破損:第1丁表下部に破損(25文字分欠損)、綴紐破損
縦22.5㎝ 横15.4㎝
1冊
千葉県館山市館山351-2
館山市指定
指定年月日:20130226
館山市長
有形文化財(美術工芸品)
金沢文庫本の宋版医学書。中国の南宋時代に福建省建安で刊行された。3部の医書が合綴され,全1冊に仕立てられ,金沢文庫印(第三類第二号印)が首尾に1顆ずつ(第1丁裏・第50丁表)捺されている。
最初に,7世紀頃の医師・学者である孫思邈がまとめたとされる『孫真人玉函方』上中下巻があり,頭痛や感染症といった様々な症状に効果のある薬の処方や服用時の注意などが30項目書かれている。
中間に,荘綽が,背中の経穴,膏肓の取穴法・灸法・効用を説いた『膏肓腧穴灸法』,最後に郭稽中の産婦人科の専門書『産育保慶集』が綴じられている。
『孫真人玉函方』は,中国の『宋史』「芸文志」に「玉函方三巻」と誌名が記されているが,室町時代以降は,全く存在が知られなくなり,写本も残されていない。全分野の善本漢籍を網羅した『経籍訪古志』(版写本・書式・伝承・所在などの考証を,江戸医学館に集った医官の森立之らがまとめたもの。1856年成立・日本)にも記載されておらず,中国でも本書は確認されていない。
【伝来】
館山市長須賀で,江戸時代以来,代々医者を営んでいた上野家に所蔵されてきた。上野家は,里見氏以来の旧家と伝えられ,18世紀前半に江戸へ医学修業に出た経験のある人物もいるが,金沢文庫本が同家に入った経緯や年代については確証がない。平成24年,館山市立博物館に寄贈された。