四国徧礼絵図
しこくへんろえずぜん
概要
現存する四国遍路の絵図の中で刊行年が記されている最も古い絵図。宝暦13年(1763)成立。四国の形は南を上、北を下、東を左、西を右という配置で、本州の中国地方から四国を眺めたようにデフォルメされて上下逆に描かれている。四国八十八ケ所の札所と遍路道が描かれ、城下、番所、国境、山坂峠、村里、名所、番外札所、港の名前、札所間の里程などが克明に記され、江戸時代の現存する四国遍路絵図の中で最も詳細な内容となっている。作者は但馬(兵庫県豊岡市)出身の細田周英で、西国巡礼には絵図があるのに対して四国遍路にはそれがないことから本図を作成した。四国遍路の全体像をはじめて詳細に視覚化した意義はとても大きい。本図からは、江戸時代の中期には八十八ヶ所の札所や番外霊場、遍路道などが整備され、四国全体を巡礼する広域な霊場として四国遍路が行われていたことを見て取れる。江戸時代の四国遍路絵図は、本図の内容を超えるものはなく、本図を参考に改変を加えたものや模刻されたものが多く、四国遍路絵図の頂点として、以後の遍路絵図に大きな影響を与えた。