土佐遍路道
竹林寺道
禅師峰寺道
清瀧寺境内
青龍寺道
観自在寺道
とさへんろみち
ちくりんじみち
ぜんじぶじみち
きよたきじけいだい
しょうりゅうじみち
かんじざいじみち
概要
遍路道は空海(諡号(しごう)は弘法大師(こうぼうだいし))ゆかりの寺社を巡る全長1,400kmにも及ぶ霊場巡拝の道で,弘法大師の足跡を追体験する四国を一周する信仰の道である。指定にあたっては,阿波・土佐・伊予・讃岐の旧国名を冠し,それぞれの遍路道を呼称することとしている。土佐遍路道は,阿波最後の札所第23番札所薬王寺と第24番札所最御崎寺(ほつみさきじ)の間にある国境の宍喰(ししくい)峠から,土佐最後の札所第39番延光寺(えんこうじ)(高知県宿毛市)から第40番札所観自在寺(かんじざいじ)に向かう国境の松尾峠までの区間である。青龍寺道は第35番札所清瀧寺(きよたきじ)から第36番札所青龍寺に至る道の一部で,途中,塚地坂(つかじざか)を越える部分に旧状をとどめている。峠の展望台からは宇佐の集落や宇佐湾,青龍寺の山並みを望むことができる。塚地坂を南に下って沢と合流する付近の岩塊には丁石としての文字が刻まれ,それに尊像が添え彫りされている。また,坂を下りきった宇佐側の沿道には磨崖仏が存在し,その一部には高岡郡域の中世期の石仏の特徴が見出される。青龍寺境内に慶長6年(1601)の接待供養塔が存在することをふまえると,遍路が一般化する時期以前から信仰の道として利用されていたことが推測される。遺存状況が良好であり,土佐における遍路道の実態を考える上で重要である。