粉河寺庭園
こかわでらていえん
概要
S44-12-016[[粉河寺]こかわでら]庭園.txt: 粉河寺(施音寺)は、国宝粉河寺縁起絵巻などで有名な西国巡礼の霊場の一つとして知られる。今回指定する庭園は、本堂と山門との間の広場をその保存区域とする破格のものである。山門から約3メートルの高さの石段を経て本堂に至るが、この庭は石段の両翼に、土留め石垣の用をも兼ねて組み上げられた石の庭である。それは、主として緑泥片岩に属する巨大な岩石が多数しかも変化に富む手法で堅固に、美しく組まれている。ツツジの刈込みで石の間隙をうずめ、さらにビャクシン・シダレザクラ・ソテツなどを植えて飾る。石組全体の構成は向かって左手に重点をおき、枯れ滝・石橋・鶴亀の島などを象徴的に表現し、右手にゆくに従って石の扱いは軽くなっている。
このような構成は庭園としては異例のものであるが、独創的な制作意欲がよくうかがわれる点で、他の定型的作庭には見られない魅力に満ちている。
粉河寺は変遷が多く、作庭の年代も不明であるが、手法からみて桃山時代の豪華な作風が如実にあらわれており、江戸時代初期を下らないころの作であろう。