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竹林寺庭園

ちくりんじていえん

概要

竹林寺庭園

ちくりんじていえん

名勝 / 中国・四国 / 高知県

高知県

高知市五台山

指定年月日:20040930
管理団体名:

史跡名勝天然記念物

竹林寺は古く神亀元年(724)に行基が開創したとされ、四国八十八ヶ所霊場のうち第31番目に数えられる信仰の地である。行基は湧水に恵まれた独立丘陵を選んで竹林寺を建立し、唐の仏教の霊場に因んで五台山と名付けたとされる。その後、荒廃した伽藍は足利氏により復興され、江戸時代には山之内一豊をはじめ土佐藩主の庇護の下に隆盛した。現在の竹林寺境内に見る客殿、書院などの主な建物群は、江戸時代後期に五台山の山頂近くに平場を造成して建てられたもので、今日見る庭園の池も古くからの湧水を利用して造られたものと考えられる。
 庭園は客殿・書院の周辺に展開し、大きく三つの部分により構成される。いずれも、江戸時代後期の池泉庭園に共通する地割と意匠に基づき作庭されたものである。
 第一は客殿に南面し、客殿の前庭を成す区域である。本来は儀式等のために砂利のみを敷いた簡素な空間に、後に現在見るような飛石と樹木が持ち込まれて意匠されたものと考えられる。
 第二は客殿の西南から西庭にかけての区域、第三は客殿の北面から書院の西面及び北面にかけての区域で、ともに竹林寺庭園の主たる部分を成す。客殿と書院の背後に迫る傾斜面とその前面のわずかな平坦地を利用して造られ、平坦地には傾斜面とその裾部から湧き出るわずかな水を集めて池が掘られている。
 特に客殿の西庭では、客殿側の護岸を石段状の直線的意匠とすることにより水面を軒先近くにまで引き寄せ、狭隘な水面に広がりを持たせている。水面を縁取る山裾の石組と傾斜面の随所に施された景石群も、やや小振りではあるが繊細で洗練された雰囲気を持つ。また、客殿の西南隅部から池の対岸にかけて石橋が架けられ、傾斜面の上方に向けて、緩やかに縫うが如き小径の痕跡がある。
 客殿の北面から書院の西面及び北面にかけての庭園では、山裾に沿って湧水を湛えた池をめぐらせ、周囲を大振りの石で護岸している。書院北庭の山腹には3段にわたり力強く滝石組が組まれているほか、客殿北庭には山腹から掘り出したと思われる巨石が中心に据えられるなど、客殿西庭に比べて豪快な作風がうかがえる。また、書院北庭の傾斜面上方には、滝石組へと水を導いた貯水池の痕跡とも考えられる径約5m、深さ約1mの窪地がある。
 このように、竹林寺庭園は客殿と書院の周囲に展開し、地割・意匠が異なる三つの区域が一体となって構成されるところに特徴がある。同時に、江戸時代後期に確立した池泉庭園の定型が土佐地方にも伝わり、湧水と巨石に恵まれた五台山の風土的特質を活かして作庭されたことを示す貴重な庭園である。したがって、その観賞上の価値、学術上の価値はともに高く、よって名勝に指定し保護を図ろうとするものである。

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キーワード

庭園 / 石組 / 書院 /

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