風雨山水図
ふううさんすいず
概要
画面左下隅に「夏珪」とも読まれる落款がみられる。夏珪は馬遠と並んで寧宗期(1195〜1224)に”馬・夏”を称された画院画家であり、李唐・劉松年を交えて南宋四大家とされたが、後2者にくらべ、その画蹟の真偽がつかみにくい。ただ伝えられるように馬遠画とは異なって墨気が多く、高い位置に遠山を配する対角線構図の描写手法が本図にも認められる。 「風雨山水」と呼称されるように、露根の古木が風雨に吹きちぎられそうななか、傘をすぼめた一人物が土橋を渡って水榭に向って急ぐ情景を描いており、このように橋を渡ろうとする人物を画中におく伝夏珪が好む図様であったとみられる。画面左上に足利義教の蔵印と提説される「雑華室印」(白文方印)が捺される。
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