夕陽山水図
ゆうひさんすいず
概要
はるかに望む遠山は夕陽の余光をまとっている。手前は湖水で、かすかに波打つ水面近くを4羽の燕が飛んでいる。筆者の馬麟は画院画家を輩出した馬氏一族、なかでも高名な馬遠(ばえん)の子で、自らも寧宗(ねいそう)と理宗に仕えた。対角線にもとづく簡潔な構図、慎重かつ的確な筆遣いは、馬遠派山水画の典型ともいうべきものである。賛に添えられた款印により、本作品は宝祐2年(1254)、理宗が娘である周漢国公主に贈ったものであるとわかる。賛と画は別絹で、もとは対題形式であったものが、わが国に将来されて後、書院を飾る一幅として改装されたと考えられる。
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