駒止湿原
こまどしつげん
概要
福島県大沼郡と南会津郡との郡境に接した分水嶺地域に散在している湿原で、その代表的なものは水無谷地・白樺谷地・大谷地の3湿原からなっている。これらの湿原は標高約1,100メートルのブナ林地帯にあり、いずれも、渓流の源頭の平低地に成立した谷湿原状の高層湿原である。泥炭層の厚さは150センチに達するところもあり、湿原の成立がかなり古い時代に遡ることは明らかである。
水無谷地は3湿原のうち最も原始性を示し、ブナの原生林中にあり、イボミズゴケが優占し、場所によってはヒメミズゴケやワタスゲも繁茂している。白樺谷地は同じく谷頭の低凹地に発達した高層湿原で、水無谷地と同様ミズゴケが密生し、ワタスゲ・ヌマガヤ・ミズギク・ツルコケモモ・ハイイヌツゲが多い。大谷地には、上記2湿原と共通のもののほかキンコウカ・ミツバオウレンなど高山性湿原植物やニッコウキスゲ・リュウキンカなどが生育している。これら3湿原は谷湿原として代表的であり、また、この地域で低層湿原から高層湿原まで各発達段階がみられ学術上の価値が高い。