尚仁沢上流部イヌブナ自然林
しょうじんざわじょうりゅうぶいぬぶなしぜんりん
概要
対象地は高原山南東斜面中腹の標高860~980mで、やや緩傾斜な地域に位置し、イヌブナを含む良好な自然林が残された地域である。イヌブナはブナ科ブナ属の落葉高木で、ブナと異なりしばしば株立ちする。分布は本州(岩手以南)・四国・九州(宮崎以北)の主に太平洋側で、シイ・カシ林とブナ林との中間域に成立する森林の代表的な樹種の一つである。ブナとも混交するが、ブナより多少標高が低い地域に分布し、シデ類やコナラの落葉広葉樹、モミ・ツガなどの温帯性針葉樹と混交することが多い。
イヌブナはブナより低標高の地域に分布し人間活動の影響を受けやすいため、早くから伐採されてきたといわれている。対象地域周辺の緩傾斜地で古くから開拓され、軍馬牧場等に利用されてきた。指定予定地はこれよりやや上部であり、ほとんど利用されず良好な森林が残されてきた。現在のイヌブナ林の立地としては、どちらかというと急峻な斜面が中心で、緩傾斜地に発達している森林は非常に少なく、学術的価値も高い。
当該地域はイヌブナを中心とした森林が緩傾斜地に良好に残されたもので、学術的価値も高い。