水縄断層
みのうだんそう
概要
平成四年、久留米市教育委員会による「山川前田遺跡」第一次発掘調査が行われた。この調査により、噴砂や土師器の落ち込んだ地割れとともに断層の一部が発見された。翌年秋の2次調査の結果、この断層は『日本書記』に記さている天武7年(679)に発生した「築紫国地震」(マグニチュード6・5-7・5)の震源となった断層であることが明らかになり、水縄断層と名づけられた。さらに、断層活動はAT火山灰層(約25、000年前)堆積前に1回、堆積後に3回あり、活動周期は短くても8、000年程度であることもわかった。いちばん新しい地震が1、300年前に起こっているので、次の活動は当分先ということになる。
水縄断層は東西方向に延び、福岡県久留米市付近から東方へ断続的に30キロメートルほど追跡できる。この地域での断層は、北側が1メートル程度落ち込んだ正断層である。小規模ではあるが、噴砂現象・断層による引きずり・地割れ等、断層活動にともなうさまざまな現象が狭い範囲で明瞭に観察できる。歴史資料と対応する地震断層としては日本で最古であり、世界的にも重要な記録である。