丹那断層
たんなだんそう
概要
静岡県函南町は,箱根火山の西側にある静かな酪農地帯である。昭和5年6月7日この地域を震源とする北伊豆地震が発生した(マグニチュード=7.3)。地震の元凶となった丹那断層の出現は劇的であった。折から掘削中であった丹那トンネル(現在も東海道本線として使用)の坑道の先端が一瞬にして消えてしまったのである。正確には,最先端の数十m手前を丹那断層が横切り,掘削中のトンネルが断層によって移動してきた岩盤によって塞がれてしまったのだ。「天の岩戸」が一瞬にして閉じたのである。断層はトンネル直上の丹那盆地にも現れた。断層は2mほどの横ずれ断層であった。水路や石組みのゴミ捨ての穴や石垣などのずれと共に地面を掘り込んだトレンチも掘られ,断層を3次元的に観察することもできる。
昭和五年十一月二十六日ニ起リタル北伊豆地震ニ際シテ地上ニ現ハレタル丹那断層ノ最モ顯著ナル部分ナリ。断層ハ殆ンド南並ニ近キ方向ヲ取リ東側ノ地塊ハ西側ニ對シ北ニ、西側ノ地塊ハ東側ニ對シテ南ニ移動シタルヲ示セリ其ノ水平移動距離ハ指定ノ場所ニ於テ約二.六メートルニ達シ且西側ガ東側ニ對シ少シ許リ隆マリタルヲ見ル