宰相ディヤーン・シング坐像
さいしょうでぃやーん・しんぐざぞう
概要
インドでは、インド神話や、シヴァ神、ヴィシュヌ神などのヒンドゥー教の神々、王の肖像や歴史的なエピソード、男女の恋愛などさまざまなテーマを緻密なタッチと鮮やかな色彩で描いた、細密画とよばれる絵画のジャンルが発達しました。多民族国家であるインドでは、細密画の表現も地域によってさまざまで、それがまた魅力であるともいえます。
ディヤーン・シングは、シク王国第5代君主シェール・シングのときに宰相を務めた人物です。シク王国とは19世紀前半、パンジャーブ地方などのインド北西部を支配していたシク教徒の国です。1801年に初代君主ランジード・シングが建国し、統治していたころが、王国の最も繁栄していた時期に当たります。
しかし1839年にランジード・シングが没すると、後継者争いが相次ぎます。ディヤーン・シングもまたそうした争いに巻き込まれ、1843年にシェール・シング王とともに殺害されてしまいました。シク王国の衰退は著しく、ディヤーン・シングの没後6年に当たる1849年に、シク王国はイギリスによって滅ぼされてしまいました。