鍍金鳥形鎮子
ときんとりがたちんし
概要
青銅製の重しであり、水鳥が長い首を後ろに向け、背中の上に載せている姿を象る。全体の表面には極細の鏨で線を刻みながら羽毛や目などを表し、鍍金を施す。内部には鉄の塊が詰まっており、その底部には部分的に鉛も付着している。錆による破損が著しく、表面の鍍金はほとんど残っていない。
鎮子とは敷物を固定するために四隅に置いた重しのことであり、遅くとも戦国時代(紀元前5世紀)には出現した。前漢時代(紀元前2世紀)になると、意匠を凝らしたさまざまな造形や装飾をもつものが作られ、高級な調度品として珍重された。鳥形の造形、および細緻な線刻と鍍金による装飾が当時の華やかなものを愛好した嗜好をよく示す。形と大きさが本作とほぼ一致する青銅鍍金の鎮子が、河南省淅川市李溝28号漢墓から4個1組で出土している。