緑釉櫃
りょくゆうひつ
概要
直方体の櫃を象った陶製の模型で、台座と一体で作られている。身と蓋のあいだを線刻して明示し、正面の中央に錠前を、背面の左右に蝶番を表す。素地は青みがかった白い胎土で、その上に発色の鮮やかな緑釉をかける。中国では多彩な器物のミニチュア模型「明器」がやきもので象られ、死者のあの世での幸福を祈って墓に副葬された。明器の種類はさまざまであるが、櫃の明器は漢時代に出現している。明時代になっても、家屋を象った明器とともに本作のような貴重品や財産を入れる櫃の明器が作られつづけた。