戊辰切(和漢朗詠集巻上断簡)
ぼしんぎれ
概要
白楮紙に雲母を薄く引き、金銀砂子を霞形に撒いた上に金銀切り箔をおいた料紙に、『和漢朗詠集』を書写した巻子本の断簡である。昭和3年(1928)戊辰の年に分割されたので、この名がある。書写されるのはその上巻にある歳暮のところで、筆写を上巻「女郎花」の段と下巻を藤原定信とし、のこる上巻をその子伊行とするが、確証はない。伊行の真跡である「葦手絵和漢朗詠集」(1160)とくらべ、これをその若年の筆と見れば、必ずしもその伝称は不当ではなかろう。
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