和漢朗詠集巻下断簡〈帝王(唐紙)/藤原定信筆〉
わかんろうえいしゅうまきげだんかん
概要
平安時代に藤原公任が撰した『和漢朗詠集』の巻下を、二重蔓文様などの具引きの唐紙に大字に書写したもので、もとは巻子本であったと思われるが、本幅は四紙に帝王部の前半十四行を存している。本文はやや大字に行草体で書かれ、その書風から平安時代後期の能筆の聞こえ高い藤原定信(一〇八八-一一五六)の筆と認められる。定信は藤原行成の四世の孫にあたり、数千巻の一切経を一人で書写したことでも知られている。定信筆の大字朗詠の断簡の中では行数が多く、帝王部の前半がまとまって存している点貴重である。なお末紙に記された定信の奥書三行は、もとの奥書をのちに臨模したものである。