青磁博山炉
せいじはくさんろ
概要
承盤と一体化した炉身と蓋からなる。蓋は全体が円錐形で、神々や仙人のすまう空想上の「博山」を象る。蓋には2カ所に煙出しの小さな円孔を設ける。承盤の底部には裾の緩やかに広がる中実の脚台がつく。淡緑色の青磁釉がほぼ全体に薄くかかるが、炉身と蓋のわずかに張り出す口縁部にはかからない。
漢時代の中国に東南アジアや西アジアから龍脳樹など樹脂性の香料が伝わるようになると、それらを焚くのにより適した深手の博山炉が登場した。南北朝時代になると、博山炉は漢時代の基本的な形態を継承しつつ、材質の面では青銅製や緑釉陶に代わり青磁の作例が主流となった。小型の本作は墓に副葬するための非実用品ながら、異国産の香料を嗜む六朝貴族の優雅な暮らしの一端を今に伝えている。