仏伝「仏誕・灌水」
ぶつでん ぶったん かんすい
概要
仏伝「仏誕・灌水」
ぶつでん ぶったん かんすい
制作地:パキスタン、ガンダーラ
クシャーン朝・2~3世紀
片岩
(1)マヤー夫人の結婚生活:縦19.3 横42.0/(2)仏の誕生・観相:縦18.3 横37.6/(3)太子修行図:縦19.0 横45.0
1面
仏教を開いた釈迦、ブッダの墓として建てられた、ストゥーパ(塔)を囲う石の壁や欄干を飾っていた浮彫りです。中央が前にせり出すゆるいカーブを描いているので、曲面に貼り付けられていたのでしょう。
こうした浮彫りには、ブッダの誕生から涅槃(ねはん)と呼ばれる死までの物語「仏伝」(ぶつでん)が表わされることが多く、この作品では、一番下の段に「誕生」とそれに続く「潅水(かんすい)」の2つの場面を見ることができます。
右から4人目の人物がブッダのお母さん麻耶夫人(まやぶにん)です。その右脇腹をよく見ると、小さな命が生まれ出ているのがわかりますか?麻耶夫人がインドのルンビニーで庭園を散歩中に木に手をかけたところ、右脇腹からブッダが生まれたという伝説を表わしています。左側が「潅水」の場面。台の上に立つ生まれたばかりのブッダに水がそそがれています。水をかけたのは2匹の龍とする説もありますが、ここでは、インドの神、梵天(ぼんてん)と帝釈天(たいしゃくてん)がブッダの誕生を祝福しています。