椿白鷹図
つばきはくたかず
概要
枯木にとまる白鷹の背後に、椿と雪持ちの笹を描く。その表現は、白鷹の眼や瞼の輪郭に金泥かと思われる絵具を用い、脚の凹凸を盛り上げて彩色するなど細やかな描写をもつ。その作者は、枯木の描法や形態、余白を生かす構成、落款印章などから、琉球の画家絵師・山口宗季(呉師虔、1672-1743)と考えられる。山口宗季は琉球王府の貝摺奉行所の絵師で、福州に留学して中国の花鳥画家・孫億(1638-1712-?)に学び、帰国後に絵師主取となって琉球画壇を代表する絵師として活躍した。近年新たに存在が確認された本図は、年記から彼が福州留学を終えて帰国してから9年後の制作と分かる。現存作品が極めて少ない山口宗季の画風展開を理解するうえで貴重な作品である。