紙本著色蒙古襲来絵詞
しほんちゃくしょくもうこしゅうらいえことば
概要
文永11年(1274)と弘安四年(1281)の二度にわたる元寇に参戦した肥後国の御家人・竹崎季長(?~1246~?)をめぐる顚末を描く絵巻物である。欠失が多く複雑な様相を呈しているが、現状の主要部分については13世紀末には成立していたとみられる。絵は宮廷絵所周辺の優秀なもので、鎌倉時代の軍記絵としては、制作とほぼ同時代の事件に取材する点で独特の位置を占め、一介の御家人から見た事の顚末を記録しようとした点では、稀有の作と言える。モンゴル帝国の拡大によって世界各地で巻き起こった事件のひとつとしての元寇とほぼ同時期における視覚資料としては類例を見ない貴重なものであり、我が国の文化史上、比類ない価値を有する作例として極めて高く評価される。