後奈良天皇宸翰詠草(初鶯二首)
ゴナラテンノウシンカンエイソウ(ハツウグイスニシュ)
概要
後奈良天皇(一四九六~一五五七)が「初鶯」の題で詠んだ「山さむみ」と「けふに明て」の二首の歌のうち、最初の「山さむみ」に点をつけられている。点者はこちらの歌をよしとしたわけであるが、ただ、そこにも「うくひすも」を「うくひすの」にするなど、三カ所にわたって添削が施されている。点者の厳しい指導の程がうかがわれる。 後奈良天皇は戦乱で窮乏生活を強いられるなか、諸芸の研鑽に励み伝統的な公家文化を後世に伝えた天皇として知られる。また、疫病に悩む黎民のために自ら「般若心経」を書写するなど、真摯な祈りを捧げ続けたことでも有名。