美郷町のわら細工及び製作用具は、旧千畑町の郷土資料館収蔵品を基礎として、昭和60年（1985）に発足した地域住民を中心とする団体により資料が収集、追加されたものである。平成２年（1990）には郷土資料館にわら細工資料館が併設され、展示されていたが、平成27年（2015）の美郷町歴史民俗資料館の開館に伴い移された。
　わら細工は、ケラ、ワラジ、釜置、魚皿、猫つぐら等の衣食住に関する用具、種通し、橇(そり)タガ、ワラダ、雀取り、馬ワラジ、手綱等の生業に関する用具、背中あて、モッコ、荷縄等の運輸に関する用具、米俵、カマス等の交易に関する用具、火消しまとい等の社会生活に関する用具、エヅメ等人の一生に関する用具、輪投げ、わら相撲等の娯楽遊戯に関する用具、しめ縄、恵比寿俵、盆(ぼん)馬(ま)等の年中行事に関する用具があり、生活の様々な場面で使われたことがうかがえる。また、俵編み台や足型等のわら細工製作用具も豊富に残されている。
　本県では稲作を主体とする農村生活に伴い、各地で様々なわら細工が作られてきたが、旧千畑町を中心に収集された本わら細工は、県内随一のコレクションであり、その多様性を示している。保存された製作用具とともに、わら細工の技法を伝承していく上で、貴重である。