銅鉦鼓 附 鉦架
どうしょうこ つけたり しょうか
概要
銅鉦鼓 附 鉦架
どうしょうこ つけたり しょうか
愛知県
室町
本品は、念仏に用いる鉦鼓で、脚をもたず架台に懸垂(けんすい)する形式である。
銅、鋳造で、鼓面は中央(径12.5cm)が低く立ち上がり、外区に2条の細隆線がめぐる。鼓面の中央はわずかに凹面をなし、桴の打痕を少数ながら認める。肩は1条の太い隆帯の両側に1段ずつの細い段を作り出し、子持ち三条風に表す。唇は薄く、張り出しも弱い古様を見せている。耳は丸みをもったいわゆる鉦鼓耳の形で、外形に比して大きめに作る。環部分の作りは精巧で角を立てる。裏面もあわせ、総体に丁寧に研磨して仕上げている。銅地金はやや黄味を呈するが、蛍光X線による成分分析の結果、銅を主成分とし、鉛と錫を含んだ青銅合金であることが判明した。
口縁には、頂部から左右方向へ1行ずつ、以下の銘文を刻む。
「長禄(ちょうろく)元年十一月十五日 信光明寺」
「願阿弥陀佛也」
このうち「信光明寺」のみ字体・鏨(たがね)使いを異にしていて、後刻と判断される。
鉦架はケヤキ製で、太い部材を鳥居形に組み合わせる。笠木は花頭形を呈し、頂部を近世の類品のように尖らせずに丸みをもたせ、両端も蕨手とせずに短く斜め上方に張り出させる点などが古様といえる。表面の仕上げは、砥粉下地に黒漆を塗り、剥落が著しいものの細かな無数の断文の様態からしても、室町時代まで遡る品と見ることができる。
信光明寺に伝わる本品は、現状で木製黒漆塗りの鉦架に下げられており、双盤念仏等の法要で用いられたとみられる。しかし、本品は双盤としては著しく小型になり、元は1口のみを単独で、架具に掛け、念仏を唱えながら叩き行脚する、本来の念仏用鉦鼓として、室町時代前期の長禄元年(1457)に製作、使用されたものと考えられる。
(鉦鼓) 鼓面径20.8cm 口径23.1cm 側面厚6.0cm
唇厚1.2cm 耳幅5.9cm
(鉦架) 高42.3cm 笠幅45.8cm 脚幅51.5cm 奥行24.8cm
1口
岡崎市高隆寺町峠1
愛知県指定
指定年月日:20180824
宗教法人信光明寺
有形文化財(美術工芸品)