箸墓古墳周濠
はしはかこふんしゅうごう
概要
奈良盆地の東南部,大和政権成立に係わる遺跡としてその一部が史跡指定されている纒向(まきむく)遺跡の中に位置する。東から派生する標高75m前後の低い尾根を核として墳丘が築かれ,墳丘の大部分は宮内庁により第7代孝霊(こうれい)天皇皇女の「倭迹迹日百襲姫命大市墓(やまとととひももそひめのみことのおおいちのはか)」に治定され,良好な状態が保たれている。
墳丘規模は,墳長290m前後,後円部径約165m,前方部長135m前後,前方部前面幅約158mであり,築造時期は3世紀中頃から後半と考えられている。墳丘及び周辺の発掘調査によって,墳丘の周囲には,幅約10mの周濠がめぐり,その外側に堤状遺構や外濠が存在する可能性が指摘されるなど,古墳の全体像が明らかになりつつある。
突出した規模をもつ出現期の古墳であり,定型化した巨大前方後円墳の出現だけでなく,大和政権の誕生と発展過程及び当時の社会状況を知る上で重要である。
今回,箸墓古墳の前方部墳端や周濠の存在が推定されている範囲の一部を史跡に指定する。