藤本観音山古墳
ふじもとかんのんやまこふん
概要
関東平野の北端、栃木県と群馬県の境を流れる矢場川右岸の標高約30mの洪積台地上に所在する、古墳時代前期中頃の前方後方墳である。
墳丘は墳長117.8m、前方部は2段で高さ5.4m、後方部は3段で高さ
11.8mを測り、葺石は後方部3段目に施されていた。前方後方墳としては、全国で5番目、東日本では2番目の規模である。埴輪は未確認だが、後方部の頂部には二重口縁の壺形土器等が配されていた。埋葬施設は未調査であるが、盗掘の痕跡を確認しておらず、竪穴系のものが遺存しているとみられる。墳丘の周囲には周濠が伴う。形状は長方形を志向しながらも、縁辺部は不整形となっている。周濠を含めると全長は210mとなる。
周濠幅が狭くなっている部分の南側では、同時期の竪穴建物21棟、土坑3基等を確認した。本古墳の築造に関わる遺構、あるいは本古墳に伴う祭祀に関わる遺構など、本古墳と密接に関わる役割を果たしていたものとみなされる。
本古墳は毛野地域の古墳の変遷をたどる上では画期となる存在であり、当地域の政治状況を知る上で重要である。また、古墳の南西側で確認された竪穴建物等は、古墳と密接に関わる施設が隣接して存在していたことを知る上で貴重である。