秩父吉田の龍勢
ちちぶよしだのりゅうせい
概要
本件は,埼玉県秩父市下吉田にある椋神社の秋季例大祭に,龍勢と呼ばれる打ち上げ式の煙火を製造し,五穀豊穣や天下泰平等を祈願して奉納する行事である。
龍勢は,松材をくりぬいて作った火薬筒に黒色火薬を詰めてタガを掛け,竹製の矢柄を長く取り付けたもので,全長は20mほどあり,「農民ロケット」とも呼ばれている。
龍勢の製造と打ち上げは,耕地と呼ばれる小集落を基礎とする27の流派ごとに行われ,この流派が製造技術や仕掛け等に独自の伝承と系統を持つ。例大祭当日は,芦田山の麓に設けられた櫓から,30本の龍勢が一日かけて打ち上げられる。口上の後,点火された龍勢は,白煙を噴きながら300mほど上空まで舞い上がり,背負物と呼ばれる落下傘や唐傘,有色の花火玉等の仕掛けを空中で鮮やかに展開させる。
(解説は指定時のものをもとにしています)
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