山中のお改めとシシ狩り行事
やまなかのおあらためとししかりぎょうじ
概要
山中の「お改め」と「シシ狩り」は、2つの祭事を一連の予祝行事として伝承したものである。前者は、御神体とする米の状態を検分するというもので、稲には神霊が宿るとする、稲霊の信仰を彷彿とさせる。後者は、シシ(猪や鹿など)に見立てた餅を弓で射つというもので、田畑を荒らす害獣の防除を願う行事であり、他に類例も少なく注目される。
「お改め」では、お筥に納められている米を、山中八幡神社裏手の小高い山の上にある、甘ノ宮と称する小社から下げてきて、榊の葉を咥えつつ、神職と宮総代だけで秘かに検分する。米の色艶や虫の付き具合をみるもので、後段の「シシ狩り」が終わった直後に、神主より「虫がたくさん付いていたので、今年は雨が多い」などと、その年の占い事として報告される。
「シシ狩り」は、猪や鹿などに作物を荒らされないよう、その年の豊作を祈願する予祝的な行事で、シシと称して獣に見立てたシトギ餅に向かって、氏子らが順次矢を放っていく。当たれば豊作だなどともいうが、なかなか上手くはいかず、次第に笑い声も高まっていく。最後には料理するとして、シシ肉を分け、人々に配られる。
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国指定文化財等データベース(文化庁)